睡眠は生命の自然な営みだ。睡眠なしでは生きていけない。哺乳類の多くは明らかにぐっすりと睡眠をとるが、物音や環境の変化ですぐ目覚める。人類は疲労困憊の極致で物音にも気づかない深い眠りを知っている。眠れないのはわれわれ人類にとって拷問に等しい。病で眠れない人でもごく短時間の深い眠りを取っている。
眠っている間の夢の世界を隠喩の世界に見立てた20世紀の分析に対し、最近ではその世界観を逆転させる見方が有力になってきているようだ。人類はなんら特別な動物、生物でなく、多くの生命と共通のプラットフォームに立つごくあたりまえの生物であるということがあきらかになりつつある。